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福王子神社での下宿生活

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松尾 隆さん
1972年卒/理工学部化学科
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2017.9.20
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福王子神社での下宿生活

 大阪の姉が賄い付きがいいという事で、右京区宇多野の福王子神社の神主さんが大家さんの下宿を見に行きました。3畳の部屋がL字で5つあり、3回生が3人入居で、2部屋が空いていました。学校に近く、賄い付きで安心だと、お世話になりました。隣りの部屋とは襖で仕切られ、机を置いて、冬、こたつを出したら空きスペースはありません。家賃は最初、月~金二食付き(朝、夕)で8,000円だったと思います。ガスは、火事が心配と事で無く、電熱器の使用でしたが、水道光熱代は皆込でした。
 住所は京都市宇多野福王子町だったと思います。大家さんの奥さんは60代位、いわゆる京都弁で、何ともいい感じで、下宿生は「お兄ちゃん」と呼ばれ、ご飯の準備が出来た時など、この京都弁で声を掛けて貰い、今でも耳の片隅の響きが残っています。
 下宿の庭には井戸があり、由緒のある井戸で、京都の名井戸にも含まれていると聞きました。時々、この井戸水を貰いに来られる方がいらっしゃいました。当時は、そんなに由緒正しい井戸とも知らず、洗濯はこの井戸水でし、特に寒い冬は大助かりでした。ただ、この井戸水での洗濯は一回生の冬までで、二回生になった時に、先輩が洗濯機を貰ってきて、以来洗濯でこの井戸水を使用する事はありませんでした。(洗濯機は本当にありがたかったです。)
 大家さんの庭には柿の木があり(甘柿)、秋になると銭湯の帰りに一個頂いては(内緒で)夜食替わりに食べました。また、秋は福王子神社のお祭りで、みこしが本殿に飾られます。下宿生が二人ずつ交代で、本殿に泊まり、このみこしの番をしました。夜食でうどんが出るのが楽しみでした。そして、祭りが終わると奉納された日本酒を頂き、それを竹筒に入れて、庭で燗をし、竹製のコップで飲んだお酒の味は竹の香りがお酒に染み込みとても美味しく、今でも忘れる事が出来ないいい思い出です。
 四年間お世話になりましたが、今思うと一つ残念な事は、神主さんの見習いの資格を取りませんか言われて辞退したことです。あの時取得していれば、他の神社への応援など色々な経験も出来たかもしれないと後悔しています。賄い付きの下宿だったので、規則正しい生活が送れ、また、下宿生の5人中、4人が理工学部だったので試験勉強の時などリズムが合いました。
 思い出深い下宿生活ですが、先日ラジオで、この福王子神社の狛犬が修理され、金銀に輝く色彩が施され、修理後京都市歴史資料館で初めて公開展示されていると聞いてビックリしました。展示期間中に見に行けたらと思いましたが、行けずに残念でした。神社仏閣は色々と拝観しましたが、灯台元暮らしで、お世話になった福王子神社の事をもう少し勉強しておけば良かったと思っています。

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