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中坊公平先生の思い出

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村井 功育さん
1990年卒/法学部
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2018.9.5
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中坊公平先生の思い出

 4回生の時、中坊公平先生をはじめとして、法の現場の第一線で活躍される弁護士 の先生方が担当してくださる「法政特講K」という講義が行われた。先生方が実際の裁判の事例をもとに、法と社会のかかわりを語ってくださった。
 恥ずかしながら、当初中坊先生のことをよく存じ上げなかった。この年度、卒業するための単位数に不安のあった私は、とにかく多くの講義に登録し、この「法政特講K」もその一つだった。
 初めて講義に出た時、とにかく大講義室(存心館801号室)は超満員で、立ち見が出るほどだった。そんな高名な先生なのだと、この学生の数に実感した。
 特に印象的だったのは、「森永ヒ素ミルク事件」訴訟のお話。「被害に遭った子のお母さんは、一様に自分自身を責めた。『私がミルクを飲ませたのが悪かった。』『乳の出ない自分が子供を産んだために…。』それが人間というものなのだと感じた。」そんなお話を涙ながらになさる先生のお姿にただただ感動した。これまで、法が社会にどう生かされているのかを理論としてのみ学んできた自分にとって、現実の社会に法をどう生かすかを考えるとてもよい機会となった。
 さて、「この講義の終わりには、実際にあったケースをもとにして模擬裁判をやって みよう。」と中坊先生が仰った。それも、「この模擬裁判で、役をやってくれた人にはこの講義の単位を必ずあげる。」とのこと。私は迷わず応募した。原告側弁護士の役だったが、書類をじっくりと読んで、勉強した。
 模擬裁判では、現役の弁護士の先生に頼り切りの状態だった。それでも中坊先生は、役を演じた私たちを誉めてくださったうえ、大学の近くの喫茶店でケーキまでご馳走して下さった。あの時の穏やかな先生の笑顔が咋日のことのように思い出される。
 先生が弁護士としての実人生を通して掴んでこられた人間の真実、人との触れ合いを大切にする生き方。全人生をかけて授業に臨まれる姿が今も心に焼き付いている。

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