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1986年の砂かけばばあ

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中澤(藤井)孝子さん
1990年卒/文学部文学科
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2018.2.21
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1986年の砂かけばばあ

 最近、テレビアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」が新しく製作され、幾度目かの放送が始まるというニュースを目にした。ちょうど、私が入学した当時も新バージョンの鬼太郎が放送中で再ブームとなっており、(原作の妖気がかなりマイルドになっていたと記憶している。)そこで、鬼太郎をテーマにサークル有志で、学園祭の仮装行列に参加することが決定した。主役の「鬼太郎」はじめ、「ねこ娘」、「ねずみ男」ら、おなじみのキャラクターが、手作りの衣装とメイクで洛中に参上した。そのなかで「砂かけばばあ」を担当することになった私は、生地を購入した店のおばあさんに着物の裁ち方や縫い方を教わり、たぶん生涯最初で最後の和裁に挑戦した。下宿生だった私にとって、田舎の自分の祖母と話をしているようで楽しく、店の奥のお座敷で(いわゆる京町屋、奥行きが深い)お茶やお菓子までご馳走になった。学園祭の後、仮装の写真を手にしてお礼に訪れた時も笑顔で歓待してくださった。卒業を控え、京都を去る前にもう一度そのおばあさんを尋ねたのだが、ご家族の方からすでに他界なさったと聞いた。あのはんなりとした京言葉をもう一度お聞きしたかった。
 さて、仮装行列である。参加された方はご存じであろうが、学園祭のオープニングを飾る催しである。そのルートは、以学館前をスタートし、西大路に出て、白梅町から今出川通りを東進し、さらに河原町通りを下って、徒歩でゴールの祇園円山公園へ至るというものだ。仮装をした多くの集団に、応援団や学園祭実行委員の学生たちも加わり、今思えば、かなり大がかりなものだっただろう。途中、学問の神様である北野天満宮の前を通り、永遠の好敵手(?)同志社大学へはエールを送り、広小路キャンパス跡(現・府立医大)を通り、京都一の繁華街、四条河原町や祇園へたどり着くころには、すでに日は西に傾き、仮装集団のテンションはマックス、疲労と羞恥心はどこへやら。秋の観光シーズン真っ只中、笑顔で修学旅行生のカメラに収まる姿に、あちこちから悲鳴も・・・?折しもその日はハロウィーン、まだ今ほど多くの人には知られていなかったけれど、妖怪に扮して都大路を跋扈した私たちって、先見の明があったりして。
 さらに、一週間後、存心館前の今は無き中央グランドは数百の模擬店で埋め尽くされ、私たちの仮装は何かの賞をいただき、そうして1986年の祭の夜は賑やかに更けていったのであった。

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